聴き比べ


発表会が近くなり、プログラムなど準備も進んできました。レッスンも佳境に入り、どんな音が欲しいのかなど、レッスンの内容が濃くなっていきます。


音色、表現を考えていくためには弾く以外のインプットが必要です。聴くことも重要な練習の一つになります。


ピアノ曲に限らずオーケストラ曲、声楽曲など、様々な曲を聴くことが表現の引き出しを増やしてくれるのです。


他の楽器になぞらえて、ここはチェロの音色のように‥とイメージできると表現も変わってきます。チェロの音色、歌い方を聴いたことがないとイメージできません。


そして、表現の仕方は弾く人それぞれに違うのですが、聴く人を納得させる演奏は容易にできるものではありません。その奥深さが音楽の楽しみでもあるのです。



今は便利な時代で、YouTubeを開くとすぐに様々な音楽を聴くことができます。

古今東西の名演と言われる音源を聴いたり、一つの曲について、たくさんの演奏家を聴き比べてみたり。


聴き比べは面白いです。

曲の始めをちょっと聴くだけでも「!!」

違いがあるんです。


最近は晩御飯を食べながら(お行儀が悪いかな)、シューマンの『子供の情景』を聴き比べ。


この曲は子供の様子そのものではなく、「大人が子供の頃の思い出を語る」ような曲なのですが、それぞれの演奏から私が受けたイメージはこんな感じです。


◎ケンプの演奏

白いフリルのシャツにズボンを履いた、お利口さんの男の子が浮かんできました。

品が良くて、朗らかなジェントルマンの話を聞いている。あなたはきっとこんな子供だったのね‥


◎コルトーの演奏

無邪気だった子供の頃を思い出して一人物思いに沈む、酸いも甘いも知る老人。涙ぐんでいるよう。終曲の最後では人生を全うし、安らかに天国に旅立つ‥



どちらも歴史に残る名演だと思いますが、随分と違います。

あなたはどんなイメージを受けるでしょうか? 

イメージは自分だけのもの、正解、不正解はありません。ご家族で自由に感想を話してみるのも楽しいかもしれませんね。